なかたに亭が開店して以来、正確にはその前からなので
もう30年近く市場に通っている。
行き先は店から車で5分ほどの鶴橋の卸売市場で、
専門店が仕入れる魚介類から韓国の食材まで何でも揃う。
お菓子に使う材料はメーカーや問屋が配達してくれるので、
ここではランチと賄い料理の仕入れが主である。
市場に行く楽しみは大きく3つある。
1つ目は季節を感じる事。
最近は野菜や果物に季節感がなくなってきたが、
市場に行くと旬の食材を見つける事ができる。
何より旬のものは新鮮で力強い!
2つ目は食材を見ながら作るものを考える事。
その日の材料でメニューが決まるのは料理の醍醐味だ。
最後はお店の人達との会話である。
市場にはAmazonやCostcoでは味わえない、
人と人との温かい触れ合いがある。
正直、雨の日や、寒い朝はおっくうになる事もあるが、
市場に行くと刺激を受け、力が湧いてくる。
両手に余る食材を車まで運ぶのだが、
これから作るメニューを考えていると、
両手に食い込む荷物の重さも忘れてしまう。
中谷哲哉