少し個人的な話になります。
もし彼と出逢わなければ、なかたに亭は存在していなかったと思います。
中学校の同級生で性格は正反対でしたが妙に気が合いました。
高校生の時は学校が終わるとほぼ毎日のように遊んでいました。
その友達が大学を中退して料理の世界に飛び込み、
私も影響を受けて、その数年後に料理ではなくお菓子の道に進みました。
先にこの世界に入った彼は友達でありながらも先輩でした。
その後フランスや東京で経験を重ねた彼は、
若干25歳でアメリカ村に「レストランシェワダ」を開店しました。
当時フランスのマルセイユのレストランで働いていた私は呼び戻されて、
その後の2年半パティシエとして一緒に働きました。
今思い出してみるとエネルギーとフランス料理への思いの溢れた店でした。
間近でフランス料理が出来上がっていくのを見たのは私の財産であり、
その時の経験は今でも物作りの原点になっています。
そんな昔からの友達が昨年の12月に永眠しました。
暫くは受け入れる事が出来ませんでしたが、
少し時間が経って思い出すのは料理を始める前の昔の事ばかりです。
ユーモアのある無邪気な顔が浮かんできます。
料理の才能だけでなく読書家で絵心もありました。
なかたに亭の初めてのリニューアルにお祝いで書いてくれた絵があります。
長らくスタッフルームに掛けていましたが、
なかたに亭のサロンの奥の壁に飾ってみました。
タイトルは確か「長いヌルヌル」?
彼のことをご存知の方もそうでない方にもご覧頂きたいと思います。
この絵の様に料理も力強くユニークで独創的でした。
信平ありがとう!
安らかに眠ってください。
中谷哲哉